こんにちは、行政書士の野口です。
今回は相続手続きに必要となる遺産分割協議書について触れさせていただきます。
相続を進めるにあたって遺言書が遺されていないケースが多く発生致します。
そのような場合では相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありまして、それを記録としてまとめたものが遺産分割協議書ということになります。
■遺産分割協議書の作成意義
民法
第三節 遺産の分割
(遺産の分割の協議又は審判)
第九百七条 共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
法律上の相続手続きにおいては、必ずしも遺産分割協議書を作成しなければならないという訳ではありません。口頭で協議を行い、相続人間で取り決めをしても問題はないとされています。
しかしながら、後から合意した内容に異議を唱える人が出てくるなど問題が発生することも少なくありません。そのようなトラブル回避の為にも遺産分割協議書を作成しておくことをお勧め致します。
又、不動産、自動車など名義変更において遺産分割協議書が必要となりますので、相続人全員の合意を得た証として作成する意義は大きいと考えられます。
■遺産分割協議書の作成方法
遺産分割協議書の作成について特に法的に決められたルールは存在しておりません。
但し、記載内容に不備が無いようポイントを抑えて作成しなければなりません。
下記に記載ポイントをお伝えしますのでご参照ください。
① 必ず相続人全員の署名、押印を残す
② 相続財産を正確に記載する
③ 誰に相続されるのか明確に記載する
④ 被相続人の情報を正確に記載する
⑤ 後日に発生した相続財産の扱いを記載しておく
⑥ 相続人全員分を作成しておく
②の『相続財産を正確に記載する』については特に注意が必要です。
不動産については登記情報をそのまま記載しなければなりませんし、預貯金についても口座番号を正確に記載する必要がありますので、相続財産の全容について事前に確認しなければなりません。
⑤の『後日に判明した相続財産の扱いについて』は必ず記載しておくことをお勧めします。
この記載がない場合、また最初から遺産分割協議をし直す必要が発生してしまう恐れもありますので、相続人全員で納得される方法を記載しておいてください。
■遺産分割協議書の利用について
遺産分割協議書は様々な相続手続きで活用することが出来ます。
各種の手続きをスムーズに進める為にも相続人間で共有しておくことが必要です。
① 不動産の登記手続き・・・法務局への申請
② 預貯金の名義変更・・・・各銀行への申請
③ 株式の名義変更・・・・・証券会社への申請
④ 自動車の名義変更・・・・運輸局への申請
尚、銀行や証券会社への相続手続きでは各機関において提出書類が異なりますので、該当の機関に確認を取りながら申請手続きを進めていただきます様お願い致します。
今回は遺産分割協議書について触れさせていただきましたが如何でしたでしょうか。
遺産分割協議書の作成時期は特に求められる訳ではありませんが、相続税の支払い期日が「相続を知ってから10か月以内」と決められていますので、その期日をご確認いただいて作成計画を立てられると宜しいかと存じます。
個人的には、様々な対応が発生する相続手続きにおいて遺産分割協議書があればスムーズに進められる手続きも多いことから、早々に作成されることをお勧め致します。
遺産分割協議書作成にあたっては相続財産や相続人の確認が前提とされております。
ご自身での対応が難しいと感じられましたら相続専門の行政書士までご相談いただくこともお勧め致します。
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