こんにちは、行政書士の野口です。
今回は任意後見契約の種類につきまして触れさせていただきます。
■任意後見契約の概要
成年後見制度の利用の促進に関する法律
第一章 総則
(目的)
第一条この法律は、認知症、知的障害その他の精神上の障害があることにより財産の管理又は日常生活等に支障がある者を社会全体で支え合うことが、高齢社会における喫緊の課題であり、かつ、共生社会の実現に資すること及び成年後見制度がこれらの者を支える重要な手段であるにもかかわらず十分に利用されていないことに鑑み、成年後見制度の利用の促進について、その基本理念を定め、国の責務等を明らかにし、及び基本方針その他の基本となる事項を定めること等により、成年後見制度の利用の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。
国は平成28年4月に【成年後見制度の利用の促進に関する法律】を施行しております。
第一章の目的には、高齢化社会において社会全体で支えていくことが喫緊の課題であり、それに対して後見人制度が非常に有効な手段であるにも関わらず、普及が遅れていることを憂いでいて、更なる成年後見制度の利用拡大を推進しています。
これは、国の施策として介護保険と後見制度が高齢者を支える両輪あり、その利用拡大を目指すところであるという強い意味合いを示していると考えられます。
特に任意後見制度は、本人が元気な間に、ご自身で後見人を指名して、ご自身で希望するケアを契約することが出来ますので、将来の安心した老後を迎える大きな手段になります。
任意後見契約ですが、パターン別類型で3種類に分けることが出来ます。
これらの類型では付随する契約との関係もありますので、利用する際には深くご検討いただき、どのような契約体系を締結するのか決めていただく必要がございます。
■将来型契約
最も基本となる契約形態となります。
契約した時点では体力もあり、判断能力の低下も見られない状態であり、今後の生活状況によって任意後見契約による効力を発生させるというものになります。
この形態では、見守り委任契約を一緒に締結することをお勧め致します。見守り委任契約では定期的な訪問を行い、まさに委任者の状態を【見守る】という業務を行います。
理由としましては、契約した時点は元気ということから、受任者の待機期間が長くなることが予想されます。その為、定期的な訪問によって継続的に確認して判断能力低下のタイミングを見逃さないようにすることが重要となるためです。
任意後見受任者が専門家などの第三者である場合は、本人の状態から見守りする方法を相談して状況によっては契約内容を変更するなど臨機応変に対応することになります。
■移行型契約
移行型では判断能力の低下は見られてませんが、足が悪く、歩行が困難といった体力的に無理が出来ない方を対象に締結する契約となっております。
この場合、財産管理委任契約を任意後見契約と同時に結んで、銀行からの引き落としや支払いなどを代理して、判断能力が低下した段階で任意後見監督人の申請を行い、任意後見契約に移行していくという流れを取ります。
この契約のデメリットとしては、判断能力が低下した段階でも、財産管理が出来てしまっているので任意後見監督人の申請が遅れてしまう状況が発生する可能性があります。
その為、複数人で相互確認をするなどの対策が必要となる場合があると考えられてます。
■即効型契約
即効型契約では、既に判断能力が低下しつつある方について契約を行うもので、任意後見契約の締結後にすぐに家庭裁判所に任意後見監督人の申請を行うことになります。
この契約では公証人がご本人の判断能力が維持されていると判断されなければなりません。
もし判断能力が低下していると判定された場合では、任意後見契約ではなく、法定後見契約の申請に変更されてしますので注意が必要となります。
専門家などの第三者が任意後見受任者となる場合は、本人の状態を確認させていただき、必要に応じては、任意後見受任をお断りする可能性もあります。
今回は任意後見契約の種類について触れさせていただきましたが如何でしたでしょうか。
任意後見制度の大きなメリットの一つとしては、本人が元気なうちに契約を行えることになります。
もし専門家などの第三者を任意後見受任者とする場合は、判断能力が低下するまでの間で信頼関係を築いていくことなりますので、どのような形態で契約を締結するのか非常に重要な事項と考えられております。
任意後見契約につきまして、詳細をお聞きになりたいとの希望がございましたら、当事務所までお気軽にご相談ください。次回は付随契約の詳細について触れてみたいと思います。
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