『相続手続きには戸籍の収集が必須となります ~相続人調査における戸籍利用~』



こんにちは、行政書士の野口です。 



今回は遺言相続手続きに必要な戸籍について触れさせていただきます。


■戸籍について



一般の方が戸籍が必要となって購入するタイミングには、どのような場面がありますでしょうか?


結婚される際に必要になった、又はパスポートを申請する際に取得したい、なんて時ぐらいに役所で案内をされている方にお話しを聞いて写しを申請する、といった感じでしょうか。

しかしながら、いざ申請するとなると謄本と抄本ってどっちが必要なんだ?とか、誰の戸籍まで入手できるんだ?など基本的なことでも迷われる方も多いかもしれません。


改めて考えると戸籍って意外と馴染みが薄いのかもしれませんね。

実は相続手続きを進めるにおいて戸籍収集は相続人を確定する大事な初期作業なのです。


戸籍には人が生まれてから、結婚や養子といった親族関連の変動などについて記載されていて、最終的に死亡した段階で除籍とされます。

戸籍法で法的に記載ルールが決められてますが、戸籍を確認していくと、その方の人生の履歴が書かれている非常に重要なものになります。

戸籍法
第十三条 
戸籍には、本籍の外、戸籍内の各人について、左の事項を記載しなければならない。
一 氏名
二 出生の年月日
三 戸籍に入つた原因及び年月日
四 実父母の氏名及び実父母との続柄
五 養子であるときは、養親の氏名及び養親との続柄
六 夫婦については、夫又は妻である旨
七 他の戸籍から入つた者については、その戸籍の表示
八 その他法務省令で定める事項


尚、現在の戸籍では、原則的に夫婦で一つの戸籍となっております。
又、結婚されずにお子さんを生まれた場合でも別の新しい戸籍を持つことになります。

戸籍法
第十七条 戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者以外の者がこれと同一の氏を称する子又は養子を有するに至つたときは、その者について新戸籍を編製する。




■戸籍の種類



戸籍の種類には、歴史的にみるもの、形態別にみるものなどで分かれることになります。
今回は基本的な分け方について解説させていただきます。

① 現在戸籍

現在利用されている戸籍のことで、筆頭者の本籍地の戸籍簿にある戸籍情報から書き写された情報となります。役所でご自身の戸籍を申請した際に提供されるものがこちらですね。

戸籍を申請する際には、謄本と抄本を選択することになりますが、該当する戸籍情報の全ての記載を希望する場合に謄本を選択し、個人の情報のみを希望する場合には抄本を選択することになります。


ちなみに現在戸籍では、謄本は全部事項証明書、抄本は個人事項証明書、と呼び方が変っていますのでご注意ください。




② 除籍


戸籍にある方が結婚、離婚、養子、死亡などで戸籍を外れることを除籍といいますが、一つの戸籍に在籍する方が全て抜けてしまった戸籍も除籍という言い方をします。

この除籍簿も本籍地の役場において保存されており、人の履歴を遡るという意味で相続手続きにおいては必要な書類となります。

戸籍法
第十二条 一戸籍内の全員をその戸籍から除いたときは、その戸籍は、これを戸籍簿から除いて別につづり、除籍簿として、これを保存する。





③ 改正原戸籍


戸籍の歴史において、記載様式などが編成されております。その編成前の様式で書かれているものを改正原戸籍といいます。

【げんこせき】と呼ぶ場合もありますが、現戸籍(げんこせき)と呼び方が間際らしい為、原戸籍(はらこせき)という言い方をする場合が多いです。

戸籍改正では、その時点で在籍している方の戸籍のみが引き継がれますので、既に除籍された方の戸籍を確認するには、改正前の戸籍を辿っていく必要があるのです。

もし改正前に親族間の変動があったとしても、現戸籍では記載されていない場合もありますので、相続手続きにおいては確認しなければならない重要事項となります。









今回は戸籍につきまして解説させていただきましたが如何でしたでしょうか。

以前の戸籍(明治19年、31年式、大正4年式)では、家督相続での記載が基本となっていて、戸主が設定された様式になっています。

その後、昭和23年式へと改正されて、現行の電子化版につながってきますが、その間には戦争における影響があったり、大災害におけるデータの喪失などがあり、現行のデータ再編には大変な苦労をあったようです。

私が最初に戸籍情報を収集したのは、実父の相続手続きの際でしたが、祖父、祖母や、それ以前の戸籍に触れることが出来て、何となく懐かしい気持ちになりました。

もし戸籍を収集する機会から親族のルーツを辿ることになりましたら、是非、戸籍に記載されている事項について読んでみてください。

手書きで記載されてますので少々難解なケースもありますが、新しい発見があるかもしれません。


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